歯根端切除術とは?

歯根端切除術とは、歯の根の先端(歯根端)に生じた炎症や感染を直接外科的に取り除く治療です。
通常の根管治療では歯の内部から根の先まで器具を通して治療しますが、歯根の形態や状態によっては、根の先端まで十分な治療ができないことがあります。
そのような場合、歯茎を切開して直接根の先端部分にアクセスし、問題のある根の先端を切除して、感染源を取り除きます。そして根の切断面を特殊な材料で封鎖することで再感染を防ぎます。
この治療により、通常の根管治療では改善が難しかったケースでも歯を保存できる可能性が高まります。歯根端切除術は、歯の保存を目指す「最後の砦」とも言える重要な治療です。
このようなお悩みはありませんか?
- 根管治療を続けているのに、痛みや腫れが繰り返し起こる
- 「もう抜歯しかない」と他院で言われてしまった
- 長い間、根管治療を続けているが良くならない
- 何度も通院しているが、症状がなかなか改善しない
など
大阪のうえほんまちかづ歯科口腔外科では、こうした根管治療では改善しづらい症状に対して「歯根端切除術」という外科的処置を行い、できるだけ歯を残すお手伝いをしています。
歯根端切除術が必要なケース
以下のようなケースで歯根端切除術が検討されます。
- 通常の根管治療を繰り返しても症状が改善しない
- レントゲンで根の先に病巣(影)が残っている
- 歯の根が曲がっていたり、細すぎたりして器具が根の先まで届かない
- 被せ物や土台(コア)が外せない、または外すと歯が割れる危険性がある
- 歯根嚢胞(しこんのうほう)という病変ができている
など
感染根管治療の成功率は一般的に約60~80%と言われていますが、根管治療で改善しない方に対して歯根端切除術を行うことで、成功率を高めることが可能になります。
歯根端切除術のメリット、デメリット
歯根端切除術のメリット
- 通常の根管治療では治らなかった歯を残せる可能性が高まります
- 被せ物を外さずに治療できるので、被せ物をそのまま使用できます
- 根管治療の成功率が向上します
- 自分の歯を残せるため、将来的な口腔機能の維持に役立ちます
など
歯根端切除術のデメリット
- 外科的処置のため、術後に一時的な腫れや痛みが生じることがあります
- 歯茎を切開するため、場合によっては歯茎が下がることがあります
- 稀に神経や血管を傷つけるリスクがあります
- すべての方に適応となるわけではありません
- 通常の根管治療より費用がかかる場合があります
など
当院の歯根端切除術の特徴
精密根管治療を保険内で実施
当院では歯根端切除術の前段階として、できる限り精度の高い根管治療を行います。マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)とラバーダム(防湿用のゴムシート)を使用した精密な根管治療を保険診療内で実施して、まずは通常の治療での改善を目指します。
口腔外科専門医による治療
当院の院長は口腔外科専門医師で、大学病院での豊富な経験を活かした質の高い治療を提供しています。歯根端切除術のような専門性の高い外科的処置も、安心して受けていただけます。
MTAセメントを使用
当院では必要に応じて高品質なMTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントを使用しています。MTAは歯根端切除術後に根管の切断面を封鎖するための生体親和性の高い材料で、優れた密閉性と骨再生促進効果が特徴です。
従来の材料と比較して治癒率が高く、周囲組織との親和性にも優れているため、より安定した治療結果が期待できます。MTAを使用する場合は自費診療となりますが、治療の成功率の向上に大きく貢献します。
サージカルガイドを用いた低侵襲治療
歯科用CTと3Dプリンターで作製したサージカルガイド(手術ガイド)を用いた歯根端切除術を実施しています。これにより、骨を削る量を最小限に抑えて、より精密な手術が可能になります。体への負担(侵襲)を減らすとともに、成功率の向上も期待できます。
歯根端切除術の流れ
1初診・検査
まずは詳細な口腔内検査とレントゲン撮影、必要に応じてCT撮影を行います。通常の根管治療での改善の可能性も含めて、総合的に治療計画を検討します。
2通常の根管治療
通常の根管治療を行い、症状の改善を目指します。当院ではマイクロスコープとラバーダムを使用した精密な根管治療を保険内で提供しています。
3歯根端切除術の説明と同意
根管治療での改善が難しいと判断された場合、歯根端切除術についての詳しい説明を行います。治療内容、期待される効果、リスクなどをご理解いただいたうえで同意をいただきます。
4手術
局所麻酔を行い、歯茎を切開して歯の根の先端部分を露出させます。根の先端と炎症組織を切除して、根管の末端を特殊な材料で封鎖します。その後、切開部を縫合して手術を完了します。
5術後管理
手術当日は安静にして、薬の服用や冷却などの指示に従っていただきます。術後の腫れや痛みは通常数日で落ち着きます。
6経過観察
術後1週間程度で消毒と抜糸を行います。その後は定期的な経過観察を行い、治療の効果を確認していきます。
術後のケアと経過
歯根端切除術後のケアと経過について、以下のポイントを押さえることが重要です。
術後の注意点
- 手術当日は激しい運動を避けて、安静にしてください
- 処方された抗生物質や痛み止めは指示通りに服用してください
- 腫れを抑えるために、術後2~3時間は氷で冷やすことをおすすめします
- アルコールや喫煙は治癒を遅らせるために、数日間は控えてください
- 手術部位を強く刺激しないように、柔らかい食べ物を中心にしてください
など
経過観察
当院では術後の経過観察を重視しています。手術当日に一度確認し、1週間後に消毒と抜糸を行います。その後は創部の状態に応じて経過観察の頻度を決定します。理想的には術後数日以内に一度来院していただき、1週間後には必ず来院していただくようにお願いしています。
治癒の目安
- 術後1週間:抜糸と初期の治癒確認
- 術後1ヶ月:経過観察(レントゲン撮影を行う場合もあります)
- 術後3~6ヶ月:治癒状態の確認(レントゲン撮影)
- 術後1年:最終的な治癒の確認
歯根端切除術後の症状改善は個人差がありますが、多くの場合、術後数日~数週間で痛みや腫れなどの症状が軽減していきます。完全な治癒には数ヶ月かかることもありますので、定期的な経過観察が重要です。
歯根端切除術の費用
歯根端切除術の費用は、治療内容や保険適用の有無によって異なります。
保険診療の場合(標準的な歯根端切除術)
基本的な歯根端切除術は保険診療の対象となります。
歯根端切除術 |
7,000~12,000円 |
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※検査内容や治療内容によって金額は異なります
自費診療の場合
より精密な処置を行う場合や、特殊な材料(MTAなど)を使用する場合は自費診療となります。当院では、サージカルガイドを用いた精密な歯根端切除術を自費診療で実施しています。
サージカルガイドを用いた歯根端切除術 |
110,000円 |
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MTA使用の場合 |
33,000円 |
サージカルガイドを用いた治療では、骨を削る量を最小限に抑えて、より精密な手術が可能になります。体への負担を減らすとともに、成功率の向上も期待できます。