口腔内の外傷とは?

口腔内の外傷とは、お口の中や歯に生じるケガのことです。日常生活の中で、転倒や衝突、スポーツ中の事故などによって起こることがあります。
具体的には、以下のようなケガが口腔内の外傷に含まれます。
- 歯が欠けた・折れた
- 歯がぐらつく
- 歯が完全に抜けてしまった
- 唇や頬の内側、舌などが切れた
- 顎の骨が折れた
など
特に前歯は目立つ場所にあるため、見た目や話し方、食事などの日常生活に大きく影響します。また、お子様は活発に動き回るため、転倒などによる口腔内の外傷が多く見られます。
大阪のうえほんまちかづ歯科口腔外科では、院長の大学病院の救急外来での経験を活かして、様々な口腔内の外傷に対応しています。特に周辺地域にはお子様が多く、保育園での転倒などによるケガの対応も行っています。大人の方も自転車での転倒や事故などでお口をケガすることがあります。
口腔内の外傷が起きた場合は、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。応急処置を適切に行い、迅速に専門的な治療を受けることで、歯を保存できる可能性が高まります。
前歯が欠けた・折れた場合の緊急の対処法
歯が欠けたり折れたりした場合、適切な応急処置を行うことが重要です。特に歯が完全に抜けてしまった場合は、できるだけ早く対処することで歯を保存できる可能性が高まります。
歯が欠けた・折れた場合
- 欠けた破片がある場合は保管しておきましょう
- 痛みがある場合は、冷たいタオルなどで冷やすと和らぐことがあります
- 鋭利な部分で舌や頬を傷つけないように注意してください
- できるだけ早く歯科医院を受診してください
など
歯が完全に抜けた場合
- 抜けた歯は歯冠部(通常見える部分)を持ち、根の部分には触れないようにします
- 流水で軽く洗い流します(ゴシゴシ洗わないでください)
- 歯についている組織はできるだけ残すようにしてください
- 歯を保存する方法(優先順位順)
- 生理食塩水(薬局で購入可能)
- 牛乳
- 水
- 自分の唾液
- 最低でも濡れたティッシュで包む
最も重要なのは、歯を乾燥させないことと、できるだけ早く歯科医院を受診することです。時間が経つほど、歯を元の位置に戻して生着させる可能性が低くなります。抜けた歯は「時間との勝負」です。適切な対処と迅速な受診で、歯を救える可能性が高まります。
乳幼児のお口の中のケガについて
お子様は活発に動き回るため、転倒などによる口腔内のケガが多く見られます。特に保育園や公園での遊び中に起こることが多いです。
お子様の口腔内のケガの特徴
- 前歯や唇をケガすることが多い
- 出血量が多く見えて、保護者の方が驚くことがある
- 乳歯の場合、将来生えてくる永久歯への影響が心配される
など
お子様がお口をケガした時の対応
- まず出血がある場合は、清潔なガーゼや布で軽く押さえて止血します
- 冷たいタオルなどで患部を冷やすと、腫れを抑えることができます
- 歯が欠けたり、抜けたりした場合は、上記の「前歯が欠けた、折れた方への緊急の対処法」に従ってください
- お子様が強い痛みを訴える場合や、歯がぐらついている場合は、早急に歯科医院を受診しましょう
など
乳歯と永久歯の違いについて
乳歯がケガをした場合、その下には将来生えてくる永久歯の歯胚があります。そのため、ケガの影響が永久歯にまで及ぶ可能性があります。乳歯が強い衝撃を受けた場合は、たとえ見た目に問題がなくても、歯科医院で検査を受けましょう。
折れた・欠けた歯を放置することの危険性
歯が折れたり、欠けたりしても、痛みがなければそのまま放置してしまう方がいらっしゃいますが、これには様々なリスクがあります。
審美的な問題
特に前歯が欠けている場合、見た目に大きく影響します。これが原因で人前で笑うことを避けたり、コミュニケーションに支障を来したりすることがあります。
痛みや感染のリスク
歯が欠けたことで象牙質が露出すると、温度変化や甘いものなどに敏感になり、痛みを感じることがあります。また、欠けた部分から細菌が入り込むと、歯髄(神経)まで感染が広がり、激しい痛みを引き起こすことがあります。
さらなるダメージのリスク
欠けた歯はもろくなっているため、そのまま使い続けるとさらに大きく欠けたり、割れたりするリスクが高まります。初期の段階で適切な治療を受けることで、より侵襲の少ない治療で済む場合が多いです。
噛み合わせへの影響
欠けた歯によって噛み合わせのバランスが崩れると、顎関節症や頭痛、他の歯への過度な負担などの問題を引き起こす可能性があります。
周囲の組織への影響
欠けた歯の鋭いエッジ(縁)によって、舌や頬の内側を傷つけることがあります。これが続くと潰瘍(かいよう)ができたり、不快感が続いたりします。
口腔内の外傷の治療方法
折れた歯を残せる場合の治療方法
歯が折れたり欠けたりしても、多くの場合は適切な治療によって残すことが可能です。折れた状態や範囲によって、治療方法は異なります。
レジン修復
小さな欠けや浅い折れの場合、歯科用レジン(歯と似た色の樹脂材料)を使って修復することが可能です。比較的短時間で終わる治療で、保険適用となる場合が多いです。
被せ物(クラウン)
歯の大部分が欠けた場合は、残った歯を削って土台を作り、その上から被せ物(クラウン)を被せる治療を行います。
根管治療(神経の治療)と被せ物
折れた部分が深く、神経(歯髄)まで達している場合は、まず根管治療を行い、その後、被せ物(クラウン)で修復します。
抜歯が必要な場合の治療方法
残念ながら、折れ方によっては歯を保存できず、抜歯が必要になる場合があります。以下のような状況では抜歯を検討します。
抜歯が必要となる状況
- 歯が骨の中で折れていて、取り出せない場合
- 歯と周囲の骨が大きく損傷し、復元できない場合
- 歯の根が複数箇所で折れている場合
- 被せ物を作れないほど歯の土台が失われている場合
など
抜歯後の治療方法
- ブリッジ
両隣の健康な歯を支えにして、失った歯の部分を補う方法です。比較的短期間で治療が完了しますが、健康な歯を削る必要があります。 - 部分入れ歯
取り外し可能な義歯で、失った歯を補います。健康な歯を大きく削る必要がなく、比較的低コストですが、違和感を感じる方もいらっしゃいます。 - インプラント
人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する方法です。見た目や機能性に優れていますが、外科手術が必要で、治療期間が長く、費用も高額になります。 - 歯牙移植
条件が合えば、親知らずなどの他の歯を移植することも可能です。自分の歯を使用するため、違和感が少なく、保険適用となる場合もあります。