骨折を防ぐために、今できること
骨粗鬆症は、骨の密度が低下して骨がもろくなり、わずかな力でも骨折しやすくなる病気です。背骨(椎体)、手首、太ももの付け根(大腿骨頸部)が特に骨折しやすい部位で、転倒だけではなく、くしゃみや重い物を持ち上げた拍子に骨折するケースもあります。
骨粗鬆症の最大の問題は、痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進行することです。「背中が丸くなってきた」「身長が縮んだ」と感じた時には、すでに背骨がつぶれるように骨折(圧迫骨折)していたということも珍しくありません。
特に大腿骨頸部の骨折は、寝たきりや要介護状態につながる大きなリスク因子です。骨折を一度起こすと、次の骨折が起きやすくなる「骨折の連鎖」が始まることも知られています。骨折が起きてから治療を始めるのではなく、骨折を起こさないための管理が重要です。
骨粗鬆症と歯科の深い関係
全身の骨密度が低下すると顎の骨(歯槽骨)ももろくなり、歯周病の進行や歯のぐらつきにつながることがあります。さらに、ビスホスホネート製剤やデノスマブなどの治療薬には、まれに顎骨壊死(MRONJ)を引き起こすリスクがあるため、治療開始前に口腔内を健康な状態に整えておくことが推奨されています。
通常、この歯科検診は別の歯科医院を受診する必要がありますが、当院は歯科と同じ施設内にあります。治療前の口腔内チェックから、必要な抜歯、治療中の定期検診まで一つの場所で完結できます。
こんな方は一度ご相談ください
- 閉経後で、骨密度の検査を受けたことがない
- 健康診断で骨密度の低下を指摘された
- 身長が若い頃より5cm以上縮んだ
- 背中や腰に痛みがあり、圧迫骨折が心配
- 糖尿病を治療中で、骨への影響も気になる
- 骨粗鬆症のお薬を飲んでいるが、歯科検診をどこで受ければよいかわからない
- 家族が大腿骨骨折を経験して、自分も予防しておきたい
閉経後の女性、糖尿病のある方は、特に注意が必要です
骨粗鬆症は、ご高齢の方だけの病気ではありません。骨密度は女性の場合、閉経を迎える50歳前後から急速に低下し始めます。閉経後の10年間で骨密度が15~20%低下するとも言われており、50代後半以降の女性は特に注意が必要です。
また、糖尿病をお持ちの方は骨密度の数値だけでは見えにくい「骨の質」の低下が起きやすく、骨密度が正常範囲であっても骨折リスクが高まることがわかっています。ご高齢の方で糖尿病と骨粗鬆症を両方お持ちのケースは多く、副院長も大学病院の臨床の中でこの組み合わせを数多く経験してきました。
以下に当てはまる方は、症状がなくても一度検査を受けられることをおすすめします。
- 閉経を迎えた、または閉経後の女性
- 50代後半以上の方
- 糖尿病をお持ちの方
- 若い頃に比べて身長が5cm以上縮んだ
- 家族に骨粗鬆症や大腿骨骨折の方がいる
- ステロイド薬を長期間使用している
- 極端なダイエットや偏った食生活を続けている
当院の骨粗鬆症診療の特徴
内分泌代謝専門医が骨粗鬆症を管理
骨粗鬆症は、整形外科で扱われることが多い病気ですが、内分泌疾患の一つでもあります。骨の代謝にはカルシウムやビタミンD、副甲状腺ホルモン、女性ホルモンなどが複雑に関わっており、内分泌の視点から骨粗鬆症を管理することで、原因に即した治療を選択することができます。
当院の副院長は内分泌代謝専門医として、骨粗鬆症の診療に対応してきました。お薬の選択からフォローアップまで、骨の代謝を専門的に理解した上での管理を行います。
治療前の歯科検診も院内で完結
骨粗鬆症のお薬を始める前には、口腔内の状態を確認して、必要な歯科治療を済ませておくことが推奨されています。当院は歯科と同じ施設にあるため、歯科医師による評価から抜歯まで、内科の受診と合わせて対応できます。治療中に求められる定期的な歯科検診も院内で受けていただけます。
糖尿病も一緒に診療
糖尿病と骨粗鬆症の両方を抱えている患者様にとって、それぞれ別の医療機関を受診するのは大きな負担です。当院では、糖尿病専門医と内分泌代謝専門医の資格を併せ持つ医師が、血糖管理と骨粗鬆症の治療を並行して行います。お薬同士の相互作用や体全体の状態を把握しながら、治療の整合性を保つことができます。
骨粗鬆症の検査
骨密度スクリーニング検査
当院では、骨密度のスクリーニング検査を実施しています。短時間で行える検査で、骨粗鬆症の傾向があるかどうかを最初に評価する方法として活用しています。
※確定診断に必要な精密検査が必要と判断した場合、整形外科などの専門医療機関をご紹介いたします
血液検査・尿検査
骨の代謝に関わるマーカー(骨代謝マーカー)やカルシウム、ビタミンD、腎機能などを検査して、骨粗鬆症の原因や進行度を評価します。お薬を開始した後の治療効果の判定にも使用します。
レントゲン(胸部・腰部)
背骨の圧迫骨折が起きていないかを確認するために、胸部や腰部のレントゲンを撮影することがあります。痛みがなくても、気づかないうちに圧迫骨折が生じているケースがあります。
骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症の治療は、お薬による治療と生活習慣の改善を組み合わせて行います。当院では、患者様の骨の状態、年齢、持病、ライフスタイルに合わせて、適切な治療薬を選択しています。
主な治療薬
- ビスホスホネート製剤:骨の吸収(破壊)を抑えて骨密度を維持するお薬です。内服タイプ(毎日、週1回、月1回など)があります
- デノスマブ:骨を壊す細胞の働きを抑える注射薬です。6ヶ月に1回、医療機関で投与します
- イベニティ:骨を作る働きを高めると同時に、骨を壊す働きを抑える注射薬です。月1回、12ヶ月間投与します。骨折リスクが高い方に使用されます
- 活性型ビタミンD製剤:カルシウムの吸収を助けて、骨の代謝を改善します
- SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター):閉経後の女性を対象に、骨密度の低下を抑えます
生活習慣の改善
お薬だけではなく、日々の生活の中での取り組みも骨を守る上で大切です。
- カルシウムとビタミンDを意識した食事(乳製品、小魚、きのこ類、緑黄色野菜など)
- 適度な運動(ウォーキングなどの荷重運動は骨密度の維持に有効です)
- 日光浴(ビタミンDの生成を助けます)
- 転倒予防(足腰の筋力維持、住環境の整備)
定期的な経過観察
骨粗鬆症の治療は長期にわたるため、定期的な検査で治療効果を確認しながらお薬の種類や量を調整していくことが欠かせません。血液検査による骨代謝マーカーの推移や、骨密度の変化を追いかけていきます。
口腔内で注意すべきサイン
骨粗鬆症のお薬を使用中に以下のような症状が現れた場合は、お早めにご相談ください。
- 歯がぐらつく
- 歯茎の腫れや痛みが続く
- 顎の骨が露出している(白や灰色に見える)
- 下唇にしびれや感覚の鈍さがある
- 入れ歯が合わなくなった
これらは顎骨壊死の初期症状である可能性があります。当院では、内科と歯科が同じ施設にあるため、気になる症状があった際に速やかに歯科と連携して対応することができます。
他院で治療中の方・転院をお考えの方へ
骨粗鬆症の治療で他の医療機関に通院されている方も、当院を受診していただけます。紹介状がなくても大丈夫です。治療の経過を確認する必要がある場合は、当院から前の医療機関へ問い合わせることもできます。
- 現在のお薬が自分に合っているのか、専門医の意見を聞きたい
- 整形外科でお薬をもらっているが、内分泌の観点からも診てほしい
- 骨粗鬆症に加えて糖尿病もあり、まとめて管理してほしい
- 骨粗鬆症の治療中だが、歯科検診を院内で受けられるクリニックを探している
- 通院先の診療時間が合わず、定期的な受診が難しくなっている
これまでの治療経過を踏まえた上で、今後の方針を一緒に考えていきます。まずはお気軽にご相談ください。