「原因不明の不調」の答えが、甲状腺にあることも
甲状腺は全身の新陳代謝を調節するホルモンを分泌する臓器です。異常が生じると、動悸、倦怠感、むくみ、体重の増減など様々な不調が現れますが、循環器や腎臓の病気、更年期障害と間違われやすく、甲状腺が原因だと気づかないまま過ごしている方は少なくありません。
当院では、内分泌代謝専門医が甲状腺エコーや甲状腺ホルモン検査で状態を評価しています。「何となく調子が悪い」という状態が続いている方は、一度検査を受けてみてください。
不調の原因を、あいまいにしない
内科や循環器科を受診しても甲状腺の検査までは行われず、「異常なし」と言われてそのままになっているケースがあります。当院では、原因がはっきりしない倦怠感や動悸、むくみなどの症状がある場合、甲状腺ホルモン・自己抗体の血液検査とエコーを組み合わせて、甲状腺の「働き」と「形態」の両面から評価しています。
結果として問題がなければ、それ自体が安心材料となり、次の原因を探る出発点にもなります。
こんな方は一度ご相談ください
- 倦怠感が続いていて、原因がわからない
- 動悸がするが、心臓には異常がないと言われた
- 顔や手足のむくみがなかなか引かない
- 急に体重が増えた、または減った
- 首の前面が腫れている、しこりがある
- 健康診断でコレステロールが高いと指摘されたが、食事を改善しても下がらない
- 更年期の症状だと思っていたが、甲状腺も調べてほしい
- 家族に甲状腺の病気の人がいて、自分も気になっている
見逃されやすい甲状腺の症状
甲状腺の病気は、他の病気や加齢、ストレスによる不調と症状が似ているため、ご本人も周囲の方も気づきにくいのが特徴です。以下のような症状が続いている場合は、甲状腺の異常が隠れている可能性があります。
バセドウ病(ホルモンが多すぎる場合)
- 動悸がする、脈が速い
- 汗をかきやすくなった
- 食べているのに体重が減る
- 手が震える
- イライラしやすい、落ち着かない
- 息切れがする、疲れやすい
動悸の症状は不整脈や心臓の病気と間違われやすく、循環器内科を受診しても「心臓には異常がない」と言われて、原因がわからないまま過ごしている方がおられます。
甲状腺機能低下症(ホルモンが少なすぎる場合)
- 倦怠感がずっと続く
- 顔や手足がむくむ
- 寒がりになった
- 肌が乾燥する、髪が抜けやすい
- 体重が増えた
- 気分が落ち込みやすい、やる気が出ない
倦怠感やむくみ、気分の落ち込みは、うつ病や更年期障害、腎臓の病気と重なる症状です。特に中高年の女性では、更年期の症状として見過ごされがちなため注意が必要です。
甲状腺の腫れ・しこり
- のどの前面が腫れている、膨らんでいるように見える
- のどに違和感がある、飲み込みにくい
- 首を触るとしこりがある
甲状腺の腫れやしこりは、痛みがなく自覚しにくいことがあります。ご家族やパートナーに指摘されて気づく方もおられます。良性のものが多いですが、検査で確認しておくことが大切です。
主な甲状腺の病気
バセドウ病
甲状腺を刺激する自己抗体が作られることで、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。20~40代の女性に多く見られますが、男性にも発症します。動悸、発汗、体重減少、手の震え、眼球突出などの症状が現れます。
治療は、甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬の内服が基本です。お薬の効果と副作用を定期的に確認しながら、慎重に用量を調整していきます。
橋本病(慢性甲状腺炎・甲状腺機能低下症)
免疫の異常により甲状腺に慢性的な炎症が起こり、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。中年以降の女性に多く、日本人女性の約10人に1人が橋本病の素因を持っているとされています。倦怠感、むくみ、寒がり、便秘、体重増加などの症状が現れますが、進行がゆっくりなため、ご本人が気づかないことがあります。
甲状腺ホルモンが不足している場合は、甲状腺ホルモン製剤の内服で補充します。適切な量を内服することで、症状は改善します。
甲状腺腫瘍・結節
甲状腺にできるしこり(結節)です。多くは良性ですが、中には悪性(甲状腺がん)のものもあります。甲状腺エコーでしこりの大きさや性状を確認して、精密検査が必要と判断した場合は、専門医療機関をご紹介いたします。
亜急性甲状腺炎
ウイルス感染がきっかけで甲状腺に炎症が起こり、首の前面に痛みと腫れが生じる病気です。発熱を伴うことが多く、一時的に甲状腺ホルモンが過剰になった後、低下するという経過をたどります。多くの場合は数ヶ月で自然に回復しますが、痛みが強い場合はお薬で対応します。
検査について
当院では、甲状腺疾患の診断・管理に必要な以下の検査を院内で実施しています。
甲状腺ホルモン検査(血液検査)
甲状腺ホルモン(FT3、FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定して、甲状腺の機能が正常かどうかを評価します。即日結果が出るため、その日のうちに状態をご説明できます。
自己抗体検査(血液検査)
バセドウ病や橋本病の診断に必要な自己抗体(TRAb、TPOAbなど)を測定します。甲状腺ホルモンの値と合わせて、病気のタイプや活動性を判断するために行います。
甲状腺エコー
甲状腺の大きさ、形、内部の状態、結節(しこり)の有無を超音波で観察します。痛みや被ばくがなく、その場で結果を確認できます。血液検査と合わせて実施することで、甲状腺の「働き」と「形態」の両方を評価できます。
一般血液検査
甲状腺の異常が他の臓器に影響を与えていないかを確認するために、肝機能、コレステロール値、血球などを併せて調べることがあります。甲状腺機能低下症ではコレステロール値が上昇することがあり、脂質異常症として治療を受けているものの、実は甲状腺が原因だったというケースもあります。
甲状腺の治療について
バセドウ病の治療
抗甲状腺薬の内服により、甲状腺ホルモンの合成を抑えます。治療を始めた直後は2~4週間ごとに血液検査を行い、お薬の量を細かく調整していきます。症状が安定してくれば、通院の間隔を少しずつ延ばしていくことが可能です。
お薬の副作用(肝機能障害、白血球減少など)には注意が必要ですので、定期的な血液検査で確認を行いながら、安全に治療を進めていきます。
橋本病(甲状腺機能低下症)の治療
不足している甲状腺ホルモンを、甲状腺ホルモン製剤(レボチロキシン)の内服で補充します。適切な用量を見つけるために、定期的な血液検査でホルモン値を確認しながら調整していきます。多くの方は、お薬を内服することで倦怠感やむくみなどの症状が改善します。
経過観察
甲状腺の結節が見つかった場合でも、良性で小さいものであれば、定期的にエコーと血液検査で経過を観察していきます。大きさや性状に変化がないかを確認して、必要に応じて対応を検討します。
専門医療機関との連携
手術やアイソトープ治療が必要と判断した場合は、専門医療機関へご紹介いたします。治療後のホルモン管理やフォローアップは当院で引き続き対応いたします。
他院で治療中の方・転院をお考えの方へ
甲状腺疾患の治療で他の医療機関に通院されている方も、当院を受診していただけます。紹介状がなくても大丈夫です。治療の経過を確認する必要がある場合は、当院から前の医療機関へ問い合わせることもできます。
- お薬を飲んでいるが、定期的な血液検査が十分に受けられていない
- 甲状腺の数値は安定しているが、通院先の診療時間が合わない
- 他の専門医の意見を聞いてみたい
- 甲状腺の病気に加えて、糖尿病や骨粗鬆症もまとめて相談したい
当院の副院長は、甲状腺だけではなく糖尿病や骨粗鬆症も含めた内分泌疾患を横断的に診療しています。複数の病気をお持ちの方にとって、一人の医師にまとめて相談できることは、治療の一貫性を保つ上で大きなメリットになります。
これまでの治療経過を踏まえた上で、今後の方針を一緒に考えていきます。まずはお気軽にご相談ください。